寛ぎ
「レスター・ヤングをアイドルとし、レスター譲りの流動感、リラクゼイション、リリカルでソフトな音色の中に秘められた近親感、そして優美さと温厚さを身につけており、それらの上に独自のモダンな個性を打ち立てている。」と云われるズート・シムス。
今回は、彼の初期のアルバムを追ってみました。
左は、PRESTIGE PRLP 117 '51年8月NYC 10インチ 両面溝&耳マーク フラット極厚重量盤。
A面「ZOOT SWINGS THE BLUES」 8分35秒
B面「EAST OF THE SUN」 11分04秒
プレスティッジの10インチアルバムは、それまで、SP用の短い演奏を何曲かカップリングして体裁を整えていたので、片面1曲というのは画期的な事でした。
右は、PRESTIGE PRLP 118 '50年9月(B面「MY SILENT LOVE」セッション・ズートのアメリカでの初リーダーセッション) '51年8月(A面「TROTTING」セッション)NYC 10インチ 両面溝&耳マーク フラット極厚重量盤。
PRLP 117 & 118の裏面です。(参考までに)
PRLP 118から装丁が変わったのかどうかまでは定かではありません。
PRESTIGE PRLP 7026 両面手書きRVG、溝&耳マーク N.Y.C.フラット重量盤。('63年に米で出た「Trotting・prlp16009」は{reissue of 7026}です。)
前出PRLP117&118を併せて12インチ化した物です。10インチ盤には無かった手書きRVGがあります。
小生の駄耳には、10インチ盤の方が素直で自然な感触で好ましいですが、再生音の迫力はRVG盤に軍配があがります。
「ZOOT SWINGS THE BLUES」はズートのオリジナルブルースで29コーラスにも渡って、スインギーなソロを披瀝し、後年('50年代中頃以降)の彼からは得られない、クールな瑞々しさを聴くことが出来ます。
その他、PRESTIGEには、「THE BROTHERS / STAN GETZーZOOT SIMS」(PRLP7022 '49年&'52年)とか「GOOD OLD ZOOT」( 〃 8280 '50年&’54年)等有りますが、7022は2度も買ったが結局残らなかったように、初期のズートを楽しむには10インチの2枚(もしくは12インチのPRLP7026)があれば小生には十分です。
所謂パリ録音の2枚で、Vogue Original LP Collectionからです。国内盤10インチです
左は、’50年6月ベニー・グッドマン・セクステットの一員として訪れたパリで録音した、ワンホーン・カルテットです。
右は、その3年後’53年11月スタン・ケントン楽団の一員として再訪したパリでのセクステットです。
歌心に溢れた温かいZOOTが、心を満たしてくれます。国内盤ですが、未だに、断捨離出来ずにいます。
ネットや中古販売店では、定価の1/3も出せば手に入るようではあります。
PACIFIC PJ-20 ’54年12月(A面)&’59年3月 両溝手書きマトリクス厚盤。
A面、「I’LL REMENBER APRIL」のワンホーン・カルテットでは太い音で伸び伸びと吹いているし、バラードの「FLAMINGO」で全編にわたってフィーチュアされているズートが人肌の温もりを感じさせて素晴らしいです。
一般に高く評価されている'50年代中頃の盤については、次の機会に触れたいと思います。
それにしても、こうしてまとめて初期のズートを聴いていますと、穏やかで寛ぎに満ちた気持ちの自分がいることが、「離見の見」ではないですが、わかります。