ブラッシュアップ
晩春の陽をロッキングチェアーで浴びながら、VivaldiのVn曲をBGMに、一昔前の管球王国を読み返していた。何度目になるだろうか、何度読んでもその都度新しい何かを発見しているような気がする。
「自作アンプは、少しずつ手を加えていって磨き上げることが必要です。完成したと思っていても、いろいろな部分を一つでも弄ると、音が変わりますしね。新しいアンプをどんどん作ることも確かに面白いけれど、既にあるアンプを少しずつブラッシュアップしていくというのも自作派にしか出来ないことです。(新忠篤氏)」
昨年の4月、AMCBの47μFをチョークインプット後のWE D166602 16μF(オイル)にパラって好結果を得た事は述べました。その後、AMCBの10μFを入手して、WE300Bシングルアンプと同様に2つ目のチョークを挟もうかと思ったのですが、在庫切れとのことで、未だ入手出来ません。AMCAも製造を停止していますし、アムトランスも自作派が減少している昨今営業がたいへんなのでしょうか。(秋葉原店も撤退したとか)
そんな折、件の悪友から、小生がWE300B PPアンプで現用中の「東一のフィルム(10+50+50μF、700V)よりもAMCBの方がずーといいぞー」という囁きが聞こえてきました。「そーんなこと言ったって、買えねんだから、しょうがねーだんべー。」と、いなしてはみたものの内心はギラギラするものがありました。(毎度煽ってくれるんだよねー。有り難い事なんだけど・・・。)
先ず、WE D166602にパラってあるAMCBの47μFを外して、音を確認です。これはこれで中域が厚くなかなか聞かせますが、若干レンジが狭くなる様です。
彼の情報では、Wチョーク後の東一50μFをAMCB47μにするのが、現状の持ち玉ではBESTとのことです。取り敢えず、簡単に出来るので、東一50μFにAMCBをパラって見ました。ウム、今一透明感に欠け、低音はゴリゴリ感が若干出てくるし、相性がよくないのでしょう、面白くないので止めました。これならWEのオイルにパラッていた方がズッといい。
東一50μFに換わってAMCB47μFです。東一50μFはWE311Aのデカップリング(従前マルコンの10μF400Vオイルが入っていた所)に移し、マルコンはお休みさせました。マルコンが抜けたので、シャーシ内がスッキリしています。
緑色の輪ゴム内の所が、今回改良した場所です。
再生される音楽が、激変しました。暫くぶりに大興奮しました。
出力トランスをマグネクエストのS240からS271Aへ交換した際の感動が、蘇ってきました。
レンジは上下に伸び、音場は広く深い、しかも最もJazz再生に求められる中域の厚みと押し出し感は半端ではありません。音楽のエネルギーを凝縮させて訴えてきます。
また、決して粗らしくはならず、優しく艶やかでもあります。ダイレクトに心を奮わせるというか、正に、真空管アンプの醍醐味を感じさせてくれます。
毎日のように、午後はJazztimeです。もう一月近く経ちますが、一向に感興が減衰しません。次々に盤を出しては、感激しております。
「適材適所」と言いますが、先ずWEのオイルで受けて、AMCBのフィルムがしっかりと供給源として働いているのです。
都合、マルコンの10μFオイルが外れましたが、再生される音楽はJazzとしては今までで最高です。Silverだってこれ程にJazzを楽しく聞かせてくれるのです。
「心のゆとりが無ければ、管球アンプは操れないし、面倒臭がっては扱えないのがアナログオーディオである。どちらも手間ひまを惜しまない気持ちが無ければ付き合えないし、どちらも手を掛ければ掛けるほど、それに応えてくれるのがたまらなく快い。・・・レコード再生と管球アンプの関係に、ノスタルジーではなく、ロマンティカリーを見いだしたい。(小原由夫氏)」
蔑ろにしなくて良かったなあーとつくずく思っております。
Silverの限界を、「TANNOYでJazz」というある種の後ろ目痛さを、思わないでは無かった小生、忸怩たる想いです。
いい信号も入れてやらないで、スピーカーが云々と云う愚をまた犯すところでした。
久し振りです。何年前に聴いたでしょうか?
あんまりよくSilverが鳴るものだから、取り出しました。米盤の両溝厚盤、ダブルジャケット、LM-82013です。オリジナルはオランダ/フォンタナ盤(モノ録音、ステレオは疑似ステ)です。
バスクラの抜けは素晴らしく圧倒的な存在感を示してくれます、フルートは優しくメロディックで抒情的です。まさに、刺激と癒やしのドルフィーを堪能出来ます。
この「LAST DATE」をこうして再度繰り返して楽しむことが出来るようになるとは、自作派冥利に尽きるというものです。