SILVER |
千里の馬
世に伯楽有りて、然る後に千里の馬有り。千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず。
故に名馬有りと雖も、祇だ奴隷人の手に辱められ、槽櫪の間に駢死して、千里を以て称せられざるなり。
「雑説」(韓愈)
縁あって、昭和54年(1979年)8月、在京の御仁にTANNOY AUTOGRAPH ORIGINAL(M/Gold入 SP端子が裏面の最下部)を譲って戴きました。熱い夏の日、4トントラックを手配してお伺いしたことを思い出します。
爾来、33年余モニターゴールドにお世話になりました。
その間、ネットワークの不具合(主にケミコンの容量抜け)が何度かあり、オーバーホール等してきましたが、昨秋とうとう左右のバランスが微妙にとりずらくなり、従前のような球の交換では対応しきれなくなってしまいました。専門店に相談すると再着磁を薦められましたが、またぞろ、慣らし運転等に苦労するのは、老い先の見えてきた我が身を想うとしんどいかなーということで、他のユニットを当たってみようと探し始めました。
ふと寄った八王子のお店で、SILVERをレプリカ箱に入れた物を聞くことが出来ました。ごちゃごちゃした店内での試聴でしたので、条件が悪かったこともあり、そのときは何枚か聞いたLP盤もそんなものかくらいでした。家に帰って同じLP(のオリジナル盤)を聞いてみると、「なんと薄味なのか!」という思いが湧いて、いつものようには聴く気にもなれず・・・。
それから1週間ほどは、自宅のAUTOGRAPHを聞く気がおきませんでした。
知人はM/Goldの方がレンジも広いし、等々慰留してくれますが、古いレコード盤を愛聴している小生には、「SILVERの方が再生される音楽が楽しいなあー」という気持ちが強くなってきました。もう戻れません。それから、しばらくSILVERを探す日々が続きました。