2025年 02月 16日
GRUMIAUX Ⅲ モノラル盤 |
洗練された美音
レコードの面でグリュミオーの活躍が鮮やかになるのは’50年代の半ばからであります。
先ず、デビュー当時から賞賛を博したモーツァルトの協奏曲(https://sankanti.exblog.jp/36899888/を参照)が、’53年から’54年にかけて、その後のハスキルとのモーツァルトとベートーヴェンのVnソナタについてはハスキルの項(https://sankanti.exblog.jp/35413188/)を参照下さい。
ではその他の、モノラル盤を手持ちの盤から紹介したいと思います。
A 00228L ’54年頃録音 フラット重量盤
ショーソンの「詩曲」、ラベルの「ツィガーヌ」、ラロの「スペイン交響曲(4楽章版)」、バックはフルネ&ラムルー管であります。
「『スペイン交響曲』の線のくっきりした且つ鋭い表現、『詩曲』の清雅な中に漂う情熱、『ツィガーヌ』の逞しい技巧と情熱、全く非の打ちどころがない。就中『スペイン交響曲』と『詩曲』とはおそらく既往のどの演奏にも冠たるものであろう。フルネの指揮もグリュミオーの音楽性とよくマッチして、これらの作品を完全に表現することに成功している。(レコ芸’56年9月号)」
それぞれ後年ステレオで入れ直されているが、聴き込んだという点ではこのモノ盤に軍配が上がるのである。
A 00348L ’55年頃録音 フラット重量盤
ドヴュッシーとルクーの「ソナタ」である。
「とりわけ忘れがたいのはグリュミオーにとっての同国人、夭折の天才ギヨーム・ルクーが残したソナタで、深い夢の香りに彩どられた曲想を、彼は磨かれた音色と、心から感じた歌い回しで弾きあげている。ステレオ期(’70年代)にD・ヴァルシと入れたこの曲の再録音も良いが、いずれかと云えばR・カスタニョーネと入れたこの旧盤に、私はグリュミオーの心の総てを聴く思いがする。(レコ芸「濱田滋郎」)」
こうした盤は、ステレオ、モノラルということを超越した『感動』があるものですね。
A 00380L ’56年頃録音 ナイフエッジ重量盤
タルティーニ「悪魔のトリル」、コレッリ「ラ・フォリア」、ヴィターリ「シャコンヌ」、ヴェラチーニ「ソナタ・イ長調」
「選曲に素晴らしい魅力がある。イタリアの古いヴァイオリン音楽の代表的作品がずらりと顔を揃えている。特にヴィターリとヴェラチーニが優れている。美しい音色で、グリュミオーにありがちな技巧味の勝ったところが無く、じっくりと格調の高さを示している。(レコ芸’58年4月号)」
この盤も良く聴きました。
特に、「シャコンヌ」は、シェリングのPhilips 盤(ステレオ)やメルクスのArchiv盤共々聴き始めや仕上げに取り出しては楽しんでいました。このグリュミオー盤は国内盤をすり減らした後ようやく見つけた物です。もう時々チリ音が出ますが、手放すことが出来ません。
A00499L ’55年頃録音 カットエッジ重量盤
ソナチネ3曲・op137,1~3. ソナタ・op162
S06082R フラット重量盤
op162,op137,1&137,3の一部
「よく言われる通り、彼はヴァイオリンの美音家であった。しかし同時に、それだけで片付ける事はとてもできない、懐の深い芸術家であった。グリュミオーの甘さとか艶っぽさは、常に、健やかな節度とともに香ったのである。楽曲の解釈においてもその通りで、豊かな表情を浮かび上がらせながらも、誇張ということはまるで感じさせない演奏家だったと言える。月並みな言い方ながら、彼ほど『洗練』の二文字が似合うヴァイオリニストは稀であった。(レコ芸「濱田滋郎」)」
フィリップスのミニグルーブをAESカーブで聴く歓びというか幸せ、今まで大事にしてきた「お宝」が、ここにきて更に輝きを増しています。
一時、古いモノラル盤をまとめて処分したことがありましたが、このグリューミオーは残っていたんですね~。
残してよかった、聴いて楽しめた、フィリップスのミニグルーブ、グリュミオーでした。
#
by sankanchi
| 2025-02-16 09:34
| レコード盤(クラシック)
|
Comments(2)