バッハ
Ⅰ はジャズでしたので、今回はクラシックからバッハものを選んでみました。
何枚持っているかでは無く、何を持っているかに変化し、今は何を残してあるかを意識するようになっていますが、こうして蒐集してきた盤を6割以上も断捨離した今でも、バッハが一番多く残されております。中でも、ヴァイオリンソナタ(BWV1014~9)は残っている盤が多く、15種類あります。
その中で、アラ還を過ぎた頃から良く聴いているLPです。
TELEFUNKEN SAWT9433/4-B ’62年、DSA ALTE WERK黒金ラベル、グリーン初期ジャケットオリジナル。
Lars Fryden ・ Barockvioline(Alexander Kennedy、London 1767)。フリュデンとでも表記するのでしょうか? スウェーデン出身のヴァイオリニストで、主に室内楽で活躍していた。
Gustav Leonhardt ・ Cembalo(Martin Skowroneck、Bremen 1962、nachⅠ.D.Dulcken,Antwerpen 1745)
1,2とも同じ装丁のジャケットですので、2は裏面とオリジナルインナーを載せてみました。1980年前後未だLPが全盛の頃、お茶の水のディスクユニオンで手に入れた物です。当時は、ジャケットにセロテープで値札が貼ってあり、裏面(2枚目左上)にその名残があります。往年のユニオン詣でをされたお方には懐かしい”痕”でもありましょう。
さて、バロック・ヴァイオリンを用いた所謂”歴史派”の演奏には、クイケン(MagginiーSchool,17th century)とレオンハルト、(harmonia mundi 3921955-0、2枚組 ’73年 オレンジレーベル)とか、メルクス(Nicola Amati、Cremona)とドレフェス(昔はドレイフェスと表記されていた)(ARCHIV 2LPーStereo 2708032 ’73~74年 シルバーレーベル)等の優れた演奏もあり、世評も高いようです。
一方、このフリュデンとレオンハルト(クイケンとより11年前)は、「ヴァイオリンって癒やされるナー」「バッハは懐が深いナー」「音楽っていいなー」と穏やかな気持ちにさせてくれる2枚であります。特にAB面にまたがった1番、続く5番を聴いていると安らかな眠りを誘ってくれるようでもあります。
VALOIS CMB 5、’68年5枚組箱 濃紺にシルバーレーベルから、「LES SONATES POUR VIOLE DE GAMBE(BWV1027,1028,1029)」を取り上げました。
JEAN LAMY,viole de gambe
HUGUETTE DREYFUS、clavecin
仏盤では、FOURNIER & RUZICKOVA(ERATO STU70817 ’73年折りたたみジャケット裏面カラー) と TORTELIER & VEYRON-LACROIX(ERATO STE50166 ’62年 紫ハープレーベルフラット重量盤)と、いずれもチェロによる名盤があります。
一方、ヴィオラ・ダ・ガンバによるものでは、このVALOIS盤は幾分スケールは小さくなりますが、いかにもセンスの良い、フランス的な音の彩が美しい、独特の味わいと魅力を持っており、なかなか断捨離出来ない盤であります。
なお、単売もされているようです。
ETERNA 825934/35(2枚組) ’67年 黒銀セミフラット重量盤 1A/2A オリジナル。
Johannes Walter、Flute
Isolde Ahlgrimn、Cembalo
フランスの奏者の陽に映える向日葵の如き眩いばかりの演奏に比して、いかにも質朴で晩秋に残っている遅咲きの白菊一輪といった趣があり,輝きを抑えた深みのある音触は心に染み入ります。
1枚目A面2曲目のソロ(BWV1013)もよし、次いで2枚目A面の2曲(BWV1030、1033)と続いて聴くことが多いです。
フルートがこんなにもしっとりとした味わいがあるとは思いませんでした。若い頃では、聞き流していたかも知れません。
因みに、再発のEDITION盤ではパラで出ておりますが、これが同じ音源かと思うほど再生される音楽が違って聞こえます。昔は、オリジナルはそれなりに高かったですが、今はネット等でも随分とこなれており、手が出し易いと思います。
ここは、是非オリジナル盤で楽しみたいものです。
PHILIPS 6500618 ’73年5月~6月 朱赤に銀 SAMPLE RECORDーNOT FOR SALE、より SONATA IN G MINOR FOR OBOE AND HARPSICHORDです。
HEINZ HOLLIGER、OBOE
CHRISTIANE JACCOTTET、HARPSICHORD
これは、フルート・ソナタ ロ短調(BWV1030)を異稿(オーボエ・ソナタ ト短調)によって演奏されたものであります。
「オーボエという楽器がこのように演奏されるとは想像したこともなかった」と絶賛したパブロ・カザルスの言を持ち出すまでもないのですが、内省的な深い情緒を湛えたこの作品を、ホリガーは愁いを帯びたテーマ、抒情的なカンティレーナと自在に「その美学=歌心」を披瀝してくれます。美しき哉その音楽といったところです。
(追、MARAISも素晴らしいです。)
CANTETE 057702Stereo ’62年 両溝厚盤、より ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調(BWV1060)です。
Georg Friedrich Hendel,Violine
Helmut Winschermann、Oboe & LEITUNG
DEUTSCHE BACHSOLISTEN
この曲には、Buchner(Vn)、Shann(Ob)、Richter Munich Bach Orc(ARCHIVE 198321 ’63年 12時STEREO 厚盤)の、造形力に富んだ楷書風の名演があり、落とせないところではありましょう。
さて、ヴィンシャーマン盤は、アカデミックな趣とは遠く、しっとりとして品良くしかも華やかな音色美を発揮するオーボエや、瑞々しい弦の音や歌い方に優しさが有り、バッハを聴く喜びや楽しみを教えてくれ、聴いていて心和らぎます。
なお、このヴィンシャーマンのシリーズは3枚あります。
歴史に残るような演奏でもないし、大向こうを唸らせるような傑作でも無いですが、持っていて良かった、聴いて楽しかった、また聴こうと思わせてくれるLP達ではあります。