on BLUE NOTE
「Studio Okamotoの徒然日記(2016年9月6日)」(お気に入りブログ参照)にRudy Van Gelder氏の逝去について書かれておりました。
BLUE NOTEを始め、RVGの手書きあるいは刻印には大層お世話になってきている小生、所有するJAZZ盤の半分以上にもなるのではと思います。
今回はBNのケニー・バレルを取り上げて見ました。
BLP1523 '56年5月29&30日 Lexington 手書きRVG&マトリクス9M耳マーク 両溝フラット重量盤 額縁ジャケット。
デトロイト出身のケニー・バレルの記念すべき初リーダー作であり、BNにとってもLP盤最初のギターアルバムであります。'56年3月13日 THAD JONESの「DETROITーNEW YORK JUNCTION BLP1513」でBNデビューを果たした後間もなくのリーダー作であります。このアルバムを機に、バレルは'60年代半ばまでに計6枚のリーダーアルバムを残し、サイドを合わせると30枚ほどのLPに登場しています。
BNと長期的に専属契約を交わしたわけではありませんが、バレルがBNレーベルのお気に入りのジャズメンの一人であったことが覗えます。
チャーリー・クリスチャン直系と云われる、バレル独自のブルージーなフィーリングとスインギーな歌心が全編で味わえますが、中でもマイナーキーの「DELILAH」は、ソフィスティケートされたバレルの持ち味が十分に生かされた名演です。
BLP1543 '56年5月29&31日、12月3日(?) Lexington 手書きRVG&マトリクス9M耳マーク 両溝フラット重量盤 額縁ジャケット デザインは「Andy Warhol」です。
このLPは、'56年の3つのセッションからです。「BUT NOT FOR ME」はバレルの無伴奏ソロトラックで「明快なフレージングはブルースフィーリングに根ざしながらも、単にそうしたモノトーンに終わらずカラフルなものになっている。」と云われ、感動的であります。
また、「MEXICO CITY」は、KENNY DORHAMの「’ROUND ABOUT MIDNIGHT AT CAFE BOHEMIA BLP1524」の別テイクで、2つの演奏はソロオーダーも異なっており、このLPでは冒頭からバレルの素晴らしいソロが大きくフィーチュアされています。
BLP1596 '58年5月14日 47WEST63rd RVG刻印 手書きマトリクス9M耳マーク 両溝重量盤 ジャケットデザインはアンディ・ウォーホル。
「BLUE LIGHTS」とは、バレルの作り出す音楽が持っているムードを言い表した素晴らしいタイトルでありますが、ギターを中心としたリラックスした雰囲気のスタジオ・ジャム・セッションが次のBLP1597と2枚に分けて収録されています。
カルテットの「AUTUMN IN NEW YORK」、この名曲をブルージーにバレルのギターが奏でて、しっとりと聴かせます。
「SCOTCH BLUES」や「CARAVAN」では、LOUIS SMITHが明快で張りのある、独特のスミス節を繰り広げてくれます。
BLP1597 '58年5月14日 47WEST63rd RVG刻印 手書きマトリクス9M耳マーク 厚盤 ジャケットデザインはアンディ・ウォーホル。(この盤の両溝盤には未だ出会った事がなく溝無し盤です)
ゴリゴリとしたあまりスムーズとはいえないが味のあるTINA BROOKS,朗々とした図太いトーンで盛り上げるJUNIOR COOK,落ち着いた中にも風格を感じさせるDUKE JORDAN、セッションを通して圧倒的なスミス等、豊かなアイデアで趣味の良いバレルと協演しており、ブローイング・セッションの質を高めております。
BLP4021 '59年8月25日 47WEST63rd RVG刻印 手書きマトリクス耳マーク 両溝重量盤。
BN5作目、ファイブスポットカフェでのライブ、バレルもいつもより太めの音色でハードバップを満喫させてくれます。BEN TUCKERのBs、BLAKEYのDsとリズム陣も申し分なく熱く、BROOKSのテナーがいい味を出して好演しています。ブルックスのファンにとっても外せない1枚ではあります。
BST84123 '63年1月8日 NEW YORK USA VAN GELDER刻印 耳マーク 片溝厚盤。
「midnight blue」とは、正しくバレルのギタープレイを象徴するかのような、Goodなタイトルでありますが、数あるバレルのリーダーアルバムの中でも、これほどまでにタイトルイメージで統一されているアルバムはないように思います。
ブルースを中心にしたミディアムスローがほとんどで、リラックスした中にバレルの魅力が十分に発揮されたLPであります。
また、当時共演することの多かったSTANLEY TURRENTINEも得意のブローを前面に出すのではなく、おさえた渋みのあるプレイで協演しています。
ブルースといっても、決して土臭くなく、都会的センスに彩られソフィスティケートされたバレルのギター、その神髄が覗える盤だと思います。
ヴァン・ゲルダーの偉業を偲びながら、静かに、「CHITTALINS CON CARNE」に針を降ろしました。